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パリの緊急は緊急ではない

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去年の秋、左目の視力が突然落ちていることに気づいて、19区のビュット・ショーモン公園に面したところにあるロスチャイルド病院の緊急眼科で診てもらった。

緊急眼科でなくてもいいのだが、もう数年前からパリの眼科は慢性的に医者の数が足りてないのか、行きつけの眼科、といっても一ヶ月前に予約を入れておかないといけないのだ。
まぁ、本当にすごい緊急事態が発生したら朝イチのアポに押し込んでもらうこともできるのだが、要は直談判して前々から予約している人の前に割り込む、ということである。

近眼・乱視の私が行きつけにしていた眼科は、先生はとっても有能でいい人なのだが、いかんせん待ち時間が長い。一ヶ月前から予約していっても一時間待ちである。
たぶんこれには、上記のような緊急事態で割り込んでいる人が多いせいもあると想像する。

そしてこの先生は、年がら年中日焼けしていて割りと男前なので、顧客の老婦人のアイドル的存在、という噂も聞いたことがある。だから余計、混んでいるのかもしれない・・

あんまり予約が先までとれないので先生に文句言ったら、普段は秘書が管理しているらしい予約表をコンピューターで呼び出してみて、すごい先まで予約が入っていることを発見して驚いていた(?)。
そして一言:「これは需要に対して眼科の数が足りてないからに違いない!」。

まいずれにせよ、予約はいま電話しても一ヶ月以上先にされるであろうし、でもこのまま視力が下がり続けて取り返しがつかなくなっても怖いので仕方なく緊急科に行ったのだ。

そして待ち時間は三時間・・

パリの病院の緊急科はほとんどの場合決して緊急対応などしない。
もちろん症状によるので、「眼に硫酸が入った!!」とか訴えれば、すぐ診てもらえるのだろうが、よっぽどのこと以外は待合室で延々と待つこと数時間が普通。

そしてこの待ち時間の果てにようやく医師に診てもらえた、と思いきや、最後には「こういう症状では緊急にはかからないように。本当に緊急対応が必要な患者がみれないから」と嫌味を言われる始末である。

でも、診てもらって初めて、さほど異常らしき異常が見当たらなかった、というだけで、診てもらわない限りそんなこと患者にはわからん、ということがわからん医者の方が不思議だ。

もちろん、むやみにちょっとしたことですぐ医者に駆け込む人が一杯いるからそういうことを言われるのだろうが。しかし数年に一回くらい緊急事態と思われることが発生して、文句もいわずに待ってた患者にそれはないだろう、とかなり理不尽に思う。

しかも、ようやく辿り着いた診察室で、ちょこっと眼をみただけで言われたのは、「いま使ってるメガネはちょっとあってないようだが、視力自体には問題ない」と。

だがここ二週間、左右の見え方が突然アンバランスになったせいで、自転車に乗るのも不安定、道を歩くのもなんか平均台の上を歩いてるみたいにふらつくし、光が目に入ると眩しくて参加したセミナーの画面がまともに見えなかったりするのが普通なわけない!

なので、これで片付けられたら困るので、状況をもう一度細かく説明して、視力検査だけでなく眼の方に異常がないか診てくれるよう主張したら・・

角膜炎(kératite)ですね。

両目ともすごいドライアイな上、左目の角膜炎の方がひどいのでもしかしたらその関係で一時的に視力が下がった可能性もある、と。

だから、突然異常が現れたから緊急にかかってるんだって言ってるでしょ!

でも、原因の方はわからんそうで。心当たりを尋ねられたが、ここんとこ携帯ランプで深夜読書してた以外には思い当たらん。。
がそういうと、先生は「そんなもんが原因で視力が下がったり角膜炎になったりはしない!」とキッパリ言い切った。

が、肝心の角膜炎とはなんぞや、というのは全然ちゃんと説明してくれないので、家に帰ってネットで調べてみると、「一度角膜炎になった眼には一生コンタクトレンズが入れられなくなる」というような恐ろしいことが書いてあるのではないか!
緊急の先生は、当分はコンタクトを入れないように、とは言ったけど、一生入れられないとは言わなかったぞ?!

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そしてこの緊急眼科から一ヶ月後に、チェックのために別の眼科に再検診にかかった(緊急にはもう来るな、と言われたので)。

そちらの眼科によると、角膜炎の方は治っているし、もうコンタクトレンズを使用できない、ということはないという。
ただ、一般的にコンタクトレンズは目に負担が大きいので、アレルギー等デリケートな目の人には向いてないが、と。

まぁこれはどの眼科に尋ねてもどうしてもコンタクト、という理由がないならメガネの方が安心というのが定説だし、使っていても目に負担が少なくラクなのは確実にメガネの方なのはわかっているが。

相変わらず原因不明となっている角膜炎。
いろんな意見を考え合わせると、個人的にはコンタクトの細菌感染が原因だったのでは、と今では思っている。
たまにしか使わないとはいえ、確かにコンタクトレンズを入れた後は、目の充血が数日続いてたし。

ドライアイ用の目薬と就寝前につけるビタミンA入りクリームは、別に必要でもないが快適な生活のためによかったら続けてください、と六ヶ月分を処方された。

なので次回は六ヶ月後くらいにもう一度検診してみて、今でも以前ほど違和感を感じない左目の視力が大体戻っているのかどうか、戻っていないようならメガネのレンズを変えようとカレンダーにメモる。

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