村上春樹の牛河って笑ぅせえるすまんがモデル?
このブログを始めたときに、アリスのチェシャ猫とムッシュー・シャの笑う黄色い猫が好き、と書いた。
このふたつは笑ってる猫という明らかな共通点があるが、ムッシュー・シャと笑ゥせぇるすまんもやっぱ似てる。こっちは歯友って感じで。
この三つのキャラを登場時期順に並べてみると ↓↓
- 1865年、チェシャ猫『不思議な国のアリス』が出版される。
- 1968年、『黒イせぇるすまん』(喪黒福造が初登場)出版。『笑ゥせぇるすまん』としてコミックが発売されたのは1989年。
- 1997年、ムッシュー・シャのイラストが落書きとして描かれ始める。
年代順にいくとチェシャ猫が一番先ってわけである。
ふむふむ。
まぁこんな年代はどうでもいいんだが、この『笑ゥせぇるすまん』に登場する不気味な笑顔をたたえてるけどどっか憎めない喪黒福造氏。
私は以前から、村上春樹の『ねじまき鳥クロニクル』に登場する牛河は絶対こんな顔と体型に違いないと思ってた。
私の頭のなかで、この二人のそれぞれの不気味さ具体がどうみても同一人物としか思えないくらい一致してたのだ。
それを確認するために、ねじまき鳥の第3部・鳥刺し男編14『待っていた男』の章を読み返してみた。
突然行方不明になった主人公の奥さん・クミコの兄・綿谷ノボル(政治家)の秘書みたいなものをやってるという牛河。どっちかといえば取り立て屋っぽいが、その初登場の描写は以下 ↓↓
・・・身長は150センチをそれほど超えていないだろう。年齢は四十代半ばから五十近く、むっちりと蛙のように肥って禿げている。・・・耳の上の方にいくらか髪がすがりつくように残っているが、それが妙なかたちで真っ黒に残っているぶんだけ余計に露出が目立った。・・・度の強そうな金属縁の眼鏡・・・煙草の色に染まった乱杭歯・・・これまでに会った人間の中でも、間違いなくいちばん醜い何人かの一人だった。ただ醜いというだけではなく、そこには何かねっとりとした、言葉では形容のできない不気味さがあった。
あらためて読み直してみると、牛河に比べれば喪黒腹蔵は断然ニートなセールスマンである。
歯並びもいいし、歯は真っ白、帽子を脱いだ髪だってかなり丁寧にセットされている。目つきが一番不気味だが、身なりはさすがセールスマン、である。
それに比べ牛河の身なりと来たら ↓↓
茶色の背広に、白いシャツを着て、鈍い赤色のネクタイをしめていたが、どれも同じくらい安物に見えたし、同じくらい酷使されていてくたびれているようだった。
やっぱり汚らしさ、醜さはかなり牛河が上手である・・
でもなんとなくそこに潜むイジワルな不気味さの匂いが似てるんだなー。
あくまでイメージだけどさ!