『マリウスとファニー』ウラジミール・コスマ作

フランス語のオペラ

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ブルターニュ地方の大学で最初の一年を過ごした年の終わり、各国に散っていくクラスメートとのお別れ会も兼ねて皆で格安ツアーに申し込んだ。

「プラハ・バス旅行ツアー」

始めての東欧への旅である。

・・が遠い。

チェコの首都プラハまでフランス西部からだと真っすぐ行って13時間。途中トイレ休憩等があるので15時間以上かかった。

だが、陸伝いに行けること自体はすごい便利だし、格安バス旅行は学生旅行にはうってつけだった。

出発前に抱いていたプラハのイメージは「ちょっと暗くて、でも豪奢な作りの建築物が一杯で、ドナウ河が流れてて・・」という感じ。

プラハ

行ってみてもそのイメージのままの古都だったが、ドナウ河はお隣の国のハンガリーの首都ブタペストを流れてる川で、プラハを流れてるのはモルダウ川だったのを発見・・

そして、30名以上いたツアー参加者の中で、チェコ共和国に入るビザが必要なのは私だけ・・

いかにも東欧人という面構えの無愛想な税関官吏にバスから降ろされ、ひとりトボトボと薄暗い税関オフィスまで歩いていき、お金払ってビザをその場で取得。
一年間同じ学校でお勉強してきた子たちには必要なくて(アメリカ人もいたのに)、私だけ必要って、本当不条理な気がした。
がともあれ、その場でひとりだけ強制送還にならなかったのは何よりだった。。

普段はそんなもんなさそうに暮らしていても、やっぱり「国境の壁」はあるのだ。

こんな気の滅入るオマケが旅の初めにあったものの、プラハはなかなかきれいだった。
徒歩で回るにはだだっぴろい感じがしたが、雰囲気はちょっとベネチアっぽい古風な街という感じ。
しかも、このツアーにはオペラ観劇まで含まれてるというではないか。

パリのオペラ座は大学時代に行ったことがあるが、天井桟敷の席だったし、第一出し物はオペラじゃなくてバレエだった。

だから、初めてのオペラ!である。
しかもプラハで!

とはいえただの学生旅行なので、皆超フツーのジーパンで観劇。
しかもオペラはドイツ語かイタリア語がほとんどなので、字幕を読まないと舞台上でなにが起こっているのかイマイチわからない。
しかしその字幕は映画のように下に付いているのではなく、舞台の上部にある!(<=後年、これはパリのバスチーユオペラもそうだし、オペラ座では結構普通のことだと知った・・)
だから観劇中ずっと上に頭を向けていたせいで首が痛くなった。

というわけで、首が痛むばかりでイマイチ印象に残らないオペラだったせいか、全然内容を覚えていない。

うちのご近所さんはオペラ大好きだし、友達のおとーさんもパリに来るたびにオペラ観劇に行くとかで、オペラファンは結構いるようだが、私は全然・・
第一長過ぎる。四時間も座ってるのやだ。

だから劇場観劇はほぼ行かないが、ひとつだけ大お気に入りなオペラ曲がある。

フランス語でかかれたオペラ曲『マリウスとファニー』(Marius et Fanny)。

仕事でオペラ関係のリサーチをしているときたまたま発見したのだが、他のものよりかなり現代的なせいなのか、これにハマってからもう十年近い。
2007年にウラジミール・コスマが書いたので、オペラには珍しく最近のもので、マルセル・パニョルの戯曲『マリウス』を下敷きに書かれているので、南仏の港町マルセイユが舞台。

『マリウスとファニー』ウラジミール・コスマ作

マルセル・パニョルといえば、1980年代に当時メチャメチャ可憐だったエマニュエル・ベアール主演で大ヒットしたクロード・ベリ監督の『愛と宿命の泉』『泉のマノン』の原作者である。

『マダム・バタフライ』とかも割に好きなんだが、ときどき無性に聴きたくなるのは『マリウスとファニー』だけ。なんでだろね。

なんかいいんだな。心に響くというか。

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