朝ごはん

朝から塩辛いもんなんてゲーッ!

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フランスの朝ごはんはバゲットとバター、ジャム。飲み物はコーヒーかカフェオレ。

このメニューが一番定番である。

ユースホステルを使って各地を旅行してたときも、出てきた朝食はだいたいこのメニューだったし、ホテルに泊まる機会があっても、バゲットが焼きたての新鮮なものになったり、クロワッサンがつくことはあるがメニューのベースは大体同じである。

フランスはそもそも朝ごはんは甘党の国なのだ。


フランス滞在一年目の学生旅行の際、いかにも朝起きられませーんという感じのちょっとダラシなさそうな大学生の男の子がグループにいたんだが、そいつはホテルの朝食ビュッフェにハムとチーズのプレートがバイキング形式で並んでいるのをみた瞬間に、

「朝から塩辛いもんなんてゲーッ、俺吐きそう!!」

と叫んだ。

 

これを耳にしてハムを自分の皿に取りかかっていた私は皿を落としそうになった。

塩辛系の朝食って、見るだけでそこまで吐き気を催すほどイヤなものなのか?!!?

自分が食べなきゃいいだけだと思うんだが、そこまでフランス人が塩辛系朝食を嫌悪する理由ってあんのか?
まぁ旅慣れてなくて世間知らずといえばそれまでなんだが。
でもつい色々考えてしまう・・
じゃあ、こういう人は日本の朝ごはんの鮭の焼き物と海苔なんて、もう冗談じゃないほど見るどころか匂いかぐのも耐えられないんだろな・・とか。

朝ごはん

・・・
自分が美味しいと思って育ってきたものを全く受け付けない人がいるんだ・・

これは、結構強烈なカルチャーショックだった。

だいたい大学生にもなって小学生みたいに「ゲーッ」とか言ってる奴はそもそもあまりレベルが高くないのだろうが、もっと驚いたのは、こういうコメントはただのバカ学生だけが口にするわけではなく、お父さんがレストランのシェフでちゃんと食教育受けてきた感じのお友達も同じようなことを言っていたこと。。
さすがにゲーッはなかったが、「朝からこんなメニュー!」みたいな愚痴だった。

てことはやっぱ、この塩系朝ごはんへの嫌悪感はフランス人の習慣的味覚から来るよう。。
ま彼らは自分たちの食へのプライド高いから、他所の食文化を多少バカにしてる面もあるかもしれないが。
でも、ここで心の広い私は、「そういうのを田舎者というんだよ」と逆に鼻で笑って許してやることにする。

個人的には、塩辛系のうまい朝ごはんを賞味できないのは人生の大きな損失だと思っているが、それでも現代のフランス人の味覚はすこーしずつ進化してきている模様。
というのも、『ブランチ~』という名のバカ高い塩辛系オソ朝飯が、お洒落カフェのメニューに定着したいるからだ。
どっちかといえば観光客狙いなのでは、という節もあるが、ジモチーも食べている。

こんなもんわざわざカフェで食べなくても家で毎日食べられるのに、とも思うが、まぁ外で食べるのから雰囲気が出る場合もあるし、家で朝ごはん食べない人もいるしね。

余計なお世話かもしれんが、古いものを大切にするのは原則いい習慣だが、さほど長くない人生でいろんなものを味見できないブロックがかかってる人って可哀ソだと思うんだな。

子供のときの食育によって、将来アクセプトできる味覚が決まるとかいうが、日本人には他の民族にない味覚の「うま味」(The UMAMI!)がある。
本当はアジア全般の料理はうま味をベースにしたものが一杯あるらしいが、うま味を発見したのが日本人だから日本のものとさせてもらってもさほど支障はないかと・・。

味覚の基本となる「基本味」っていうのは、西洋では甘味・塩味・酸味・苦味の四つだったそうだが、1907年に日本人化学者の池田菊苗(きくなえ)東大教授の発見で、うま味が世界的に認められるようになったってさ。この人はうま味調味料「味の素」の特許をもってる人。
でも、本当にうま味が五つ目の味覚に認知されたのは2000年とわりに最近。舌にある味蕾(みらい)の感覚細胞にグルタミン酸受容体(mGluR4)が発見されて以来なんどすと。。
うま味くんも下積みの期間、長かったんだねー。

私はもちろんアジア飯が一番好きだが、フランス料理ですごいと思うのは、驚くほど素材の味が主役で味付けはシンプルなとこ(日本式の高級料理じゃなくて家庭料理ね)。
こんだけの調味料でこんな美味くなるんかい?と毎回叔母さんちでご飯食べて驚くわい。

じゃがフランスの味文化、守るだけでなく進化の方も願っておるぞ!

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