フランスの兵役

国民皆兵と兵役

Pocket

スイスは永世中立国だが、この中立の立場がゆえにどの国とも同盟国せずに、自国は自分たちで守るという強力な武装中立の立場をとっている。

だから国民皆兵(国民全員が徴用される可能性があるが、実際には主に男性)システムで、どんなに遠い国に住んでいてもスイス人男子はかなりいい歳になるまで毎年徴兵訓練のために自国に戻らなければならないらしい。

この国民皆兵制度は、イスラエル、スイス、トルコ、韓国、北朝鮮、エリトリアにもあるそうだ。

イスラエル軍は世界的に有名な名うての軍隊で、男女問わず軍隊経験率が高い。
国の成り立ちが特殊なせいだと思うが、フランスで活躍する歌手とか芸能人も兵役やってきました!と結構堂々と公表しているのは、兵役をやる=国のために何かする、という感覚でかな?

フランス男子も以前は徴兵制度があったので皆大学に入る頃(18~22歳で一、二年の兵役が義務づけられていた)になると、この苦役をどうやったら忌避できるか、それとも仕方なく従事するか、それならどこに配属されるのが一番いいか、等々を恐々と検討していた。

しかし、2001年にこの制度は廃止。
以来、男女問わず16~18歳の青少年は一日だけ国防教育の研修に参加すれば、あとはパスとなることになったため胸をなで下ろした男子も多いことだろう。

個人的には現代でも強制的な兵役があるのはとてもヘンだと思う。
だが、これは私のすごい個人的な観察なのだが・・

兵役をやった男子の方がやらずに済んだ子より全体的に根性がある気がする・・

一概にまとめるのは危険だし、生まれ年は自分で選べないからどうしようもないことだ。

それに軍隊にも色々な役職があるので、例えば私の元同僚は、映画関係でその後仕事に就くのだが、写真が撮れる(写真学校に行った経験もなく、その後プロの写真家になったわけでもない)、ということで将校付きのカメラマンに指名され、車を運転して写真撮るのが仕事、というラッキーな役職だったそうだ。

フランスは車の免許取得がかなり高額で難しいのだが、兵役中に「免許もってないから車が運転できない」と言ったら、「じゃ訓練敷地内を車で10周してきたら免許出してやる」と言われ、やったらもらえた、という人もいる。(?!現代ではもうこんなことはあり得ないと思われるが・・)

採用の際に行われる筆記と実地テストで、エリートと見なされた候補生は航空部隊に配属になることが多い、という噂も聞いたが、知人で配属された子は数学科で頭はよかったのだろうが、運動はからっきしだったので肉体訓練で苦労したとも。

なので結構適当というか、行き当たりばったりなのも真実なようである。

だが、兵役を経験あり・なし、ってのは、戦争を体験したことある世代とその後の世代の違いに似てるのではないかと思う。

兵役があった時代は、皆どうやったら覚えたくもない武器の使い方を覚えるのに一年も二年も過ごさず済ませられるか真剣に考え、心のなかで戦っていた。

それに、ちゃんと学校行ってるインテリたちにとって、今の時代に兵役に徴用されるのはかなりの屈辱なのだ。

昔リチャード・ギアが『愛と青春の旅立ち』の中で、軍隊で教官に散々しごかれて「自分は帰るところがありません!」と歯を食いしばってたが、学校いってお勉強してる男子たちは自分たちが将来所属すべき場所はビジネス界や教職だと知っている。
なのに野蛮なシゴキがある「イエスッサー!」の世界に突然放り込まれるのである・・

日本男子は高校卒業したらこんな苦役が待ってると知ってどんな顔するとね?

だから、強制兵役がない国にフランスがなったのは喜ばしい。
自分の息子が学業の真っ最中にそんなもんに徴用されるとなると、やはりかなり心配である。。

なのだが。

そんな制限のある中で真剣に悩んだ経験は、必ず何かの役に立っているとも思うのだ。

Pocket


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください