GK ウゴ・ロリス(フランス代表)

ワールドカップ 2018 ~フランス再び?~

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7月10日(火)の準決勝、フランスがベルギーに辛くも勝ち、1998年のようにワールドカップ優勝再び!?!の期待が盛り上がるフランス。

大体、ワールドカップというのは、突然国粋主義になる絶好の機会である。
ロシアまで観戦に行くために家を売ったペルー人もいるとかで、筆者はフランス・リーグ1とか欧州選手権とかのサッカーの試合はほとんど見ないが、やはりW杯は気になる。
7月2日(月)の日本 vs ベルギー戦で日本が勝利したら(68分まではそのはずだった…)、現在居住している国と自分の出身国、一体どちらを応援するんだ!?、という深いジレンマが訪れるはずだったのだが、今回それはとりあえず避けられた。

が、今住んでる国の代表チームが勝ち進んでいるととても気になる。
というか、試合に勝った日の夜は、そもそも興奮したサッカーファンのクラクションがうるさくて眠れないし、ゴールが決まりでもしたら中庭に反響する絶叫で無関心でいることの方が極めて難しいのである。

フランスではW杯の時期は各自治体が野外に大型スクリーンを設営して、友達や家族と一緒にサッカー観戦できる場を作るのがかなり一般的になっているが、今回はテロの多い近年の時世のために五月に内務大臣から「公共のオープンスペースにスクリーンを設置するのは避けるように」という勧告が出た。

しかし、フランスチームが準決勝まで進んできたベルギー戦を前に、ようやくパリ市でも恒例の市役所前に、62㎡の巨大スクリーンが設営されファンゾーン(FAN ZONE)で二万人が観戦できる体制を整えた。

ワールドカップ2018 パリ市役所前のファン・ゾーン

もちろん最寄りのメトロ駅は全て閉鎖され、入口ではセキュリティチェックが行われるという警戒態勢を敷いてではあるが、大きな国家イベントの際には必ず何らかの催しものがあるパリ市役所前。
行き交う人が多過ぎて、のんびりキスなんかしてる雰囲気ではないのが現在の市役所前である。

囲いがあるため出入り自由な完全なオープンスペースではないが、とにかく家でひとりで観るより大勢で盛り上がるためにと18時のオープンに並んだ人も多数。

仏時間で20時に開始した試合は、51分に笑顔がやけに柔和なFCバルセロナ所属のDFサミュエル・ウムティティがゴールを決めてから、守護神 GKウーゴ・ロリス(ヒュー・ジャックマン似)と、1998年W杯立役者のジダン監督のイチ押しコールでレアル・マドリードに移籍し活躍している DFラファエル・ヴァランの高いヘッドでとにかく守る守る守る!

フランス代表 GK ウゴ・ロリス

この徹底した守りに敗北した試合後、ベルギーチームのキャプテンMFエデン・アザールは「こんなフランスチームで勝つくらいだったら、ベルギーチームで負けたほうがマシ!(Je préfère perdre avec cette Belgique que gagner avec cette France)」と発言。

フランスだけでなく世界のプレスでショッキングな発言と報道された。

ベルギー代表 MF エデン・アザール

確かに後半は守備に切り替え、攻めの見せ場が少なかった試合だったため、金髪の王子様 FW アントワーヌ・グリーズマンもサッカー界のダンディ、FW オリヴィエ・ジルーもやや影薄ではあったが・・・ベルギーの主将&GKが揃って、負けた直後に勝利チームをあからさまにこき下ろすのは、そもそも勝ち負けが前提になっているスポーツの世界、しかもワールドカップクラスの競技会では珍しい気がする。

一方、日曜にクロアチアとの決勝を控えたフランスは、負け犬の遠吠えに割くエネルギーはゼロと言わんばかりのフランス代表の反応は以下 ↓↓

FW ジルー:「ロリスは(ベルギーGKの)クルトワより上なんだよ。(Lloris est meilleur que Courtois)」

FW グリーズマン:「世界チャンピオンには、(そこに至る)プレーなんてどうでもいいことだよ。(Si on est champion du monde, je n’en aurais rien à faire qu’on dise qu’on est moche à voir jouer)」

19歳のパリ・サンジェルマンでプレイするFW キリアン・エムバペ:「気を悪くしてほしくないんだけど、俺は決勝進出するもんね。(Si je les ai offensés, je m’en excuse. Mais moi, je suis en finale)」

 

ベルギーチームのプリンス(今年五月に結婚したばかりのハリー王子似)のMFケヴィン・デ・ブライネは、「後悔はない。土曜(三位決定戦)は勝ちたい。」と前向きな発言をしているのが敗者ベルギーチームの救いか。

ベルギー代表 MF ケヴィン・デ・ブライネ

各方からフランス代表選手のプレーの仕方に賛否両論な部分もあるようだが・・・

1998年にW杯でフランスが世界チャンピオンになった日に現役だった、現フランス代表監督のデディエ・デシャン、2016年からベルギー代表アシスタント・コーチに就任しているティエリー・アンリ。

この準決勝戦は、実はフランスW杯初優勝以来、20年目の真実を明らかにする因縁ゲームだったのか。

各試合の中継コメンテーターには98年組が続々と招集され、フランスは現在20年ぶりのシャンゼリゼ大通りでの凱旋行進を夢見てひそかに準備中・・・

三度の延長戦にもへこたれなかったファイターなクロアチアに実は内心恐々としながらも、土曜の「キャトーズ・ジュイエ(14/07)」フランス革命祭を目前にした日曜までの数日間、夢見るフランス市民なのである。

 

 7月15日(日)仏時間 17 時に開始するW杯決勝戦は、パリ市役所前の他にもエッフェル塔前シャン・ド・マルス(Champs-de-Mars)に設営される 9 万人収容のファンゾーンで楽しめる。(開場予定:13時~)
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