フランス革命祭2018_一機が煙の色を間違える

フランス革命祭とW杯三位決定戦(ベルギー対イギリス)

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一機が煙の色を間違えたフランス革命祭2018フランス革命祭の7月14日午前、シャンゼリゼ大通りでは恒例の軍隊パレードが繰り広げられ、恒例のトリコロールを空に描く見せ場では、なぜか左端の一機から青ではなく赤の煙が出てしまったり、整然と行進していたバイク隊のうち二台がよりによって見せ場の大統領ポディウム前で接触・転倒してしまうというハプニングがあったが、マクロン大統領の「ドンマイ!」的微笑みに勇気付けられ無事終了。

煙の色を間違えた飛行機に関しても、「最終チェックで飛行機を入れ替えるのはよくあること。その時、間違いが起こったのか、単にパイロットがボタンを押し間違えたのかは不明」というなんとも鷹揚な対応。

間違えちゃったものは今更追求しても仕方ない、という適当さだが、確かに今更担当者に頭を下げてもらってもどうにもならないし、幸いなことに一番端っこで(比較的)目立たないところだったのもご愛嬌というところ。フランス革命祭2018 バイク・アクシデント

今年はアジアとの友好関係強調のため、シンガポール軍と日本の自衛隊のみに部隊も登場。
日本からは西日本豪雨の災害対策で不参加だった安倍首相に代わって河野外務大臣が出席したが、軍事パレードをあまりに正直に楽しんでいたシンガポールのリー・シェンロン首相と隣りのマクロン大統領にテレビカメラが集中し、フィリップ仏首相の横に座っていた我が外務大臣はほとんど画面に登場せずに終わった。

フランス革命祭2018_シェンロン首相、マクロン大統領、大統領夫人、フィリップ首相、河野外務大臣

しかし、いくら初参加行事とはいえ、一国の首相がポケットから携帯電話を取り出してポディウムの上から写真を取りまくるというのはかなりマレなシーンである。
筆者はしゃちこばっている仏官僚の中で、余計目立っているシンガポール首相の穏やかな笑顔に好感を覚えたが、フランスのメディアやSNSもどちらかといえば笑いを誘う無邪気な行為、と好意的な扱いだったようである。

フランス革命祭2018_シェンロン首相

このシェンロン首相が特に感銘を受けていた様子なのは、歩行隊のトリを務める外国人部隊(Légion étrangère)のパレード。

独自のマーチを演奏する管弦楽団を伴われ、伝統のヒゲに白いケピ帽、革のエプロン、肩には斧を担いだ出で立ちで一分間に88歩のゆったりとした速度で行進する。

ヒゲをたくわえる理由は、外国人部隊が危険な戦闘に一番に乗り込んでいくことが多かったために戦いから戻ってくる兵士が少なかった時代、同部隊は戦闘中はヒゲを剃らず長い戦いから帰還した者だけがたくわえた長いヒゲが誇りだったという歴史から。

白いケピ帽(15年以上のキャリアをもつ将校クラスは黒ケピ帽)は、日差しの強い北アフリカ・アルジェリア攻略の際に、それまでフランス正規軍で採用されていたシャコー帽を簡略化させ、現地の気候に適応させたものに由来している。

フランス革命祭2018_外国人部隊

そして同日午後16時から開始したロシアでのワールドカップ2018 三位決定戦は、ベルギーが英国に2-0で予想通りの順当勝ち。

どちらもヨーロッパの北国対戦、しかもベルギー代表メンバー23名の内、なんと15名が現在イギリスのチームでプレイしているという英国色の強い対決となった。

イギリスは名門サッカーチームを多く抱えているにも関わらず、W杯優勝は1966年と五十年以上前の話で、なんとかこの辺りでサッカー王国のメンツを復活させたいところ、対してベルギーは三位に入ればベルギーサッカー史上初の快挙で、火曜のフランス戦敗北で舐めた苦渋から少しは立ち上がって自国に凱旋できる。

フランスのサッカー関係者も概ねベルギーチームの勝利予想が大半を占めていたが、ベスト16・日本戦で見せた69分からの脅威の連続3ゴール。あのゲームでベルギー代表が吹っ切れた、このワールドカップでベルギー主将のアザールが一皮むけた、と同日も対日本戦が何度も引き合いに出される。

日本チームにとっては、日本のサッカーが世界レベルに達していることを証明できたビッグゲーム、フランスがW杯優勝を決めた1998年が日本のW杯初出場だったことを考えると、サッカーの歴史が浅いのに素晴らしい速さで成長したチームと言う評価が高まってきている。

三位決定戦終了後、ベルギーのGKクルトワがフランス語のインタビューで、「フランスのこと悪く言って申し訳なかった。試合に負けたばかりで熱くなってたんだ」と言い訳謝罪したのもご愛嬌。

GK クルトワ(ベルギー代表)フランスに謝罪

敗北後、フランス代表をけなして因縁をつけた鬼形相の主将FWアザールはさすがに謝りこそしなかったが、やはりそのパワーとスピードでゲームを一気に加速させる攻めで、大いに観戦しがいのあるプレイを見せてくれた。

FW アザール(ベルギー代表)イギリス戦ゴール

スピードといえば、フランス代表チームで歴代最多の51得点を記録した1998年組ティエリ・アンリもすごかった。
彼が走ると長い脚がプロペラのように全速力で回転し、見ていて気持ちのいい選手だった。

アンリが現ベルギー代表のアシスタントコーチとして、FWグループのケアをしているのも因縁のひとつか。
次回、フランス対ベルギー戦が巡ってくる日が楽しみだ。

まだ夜の花火観戦が残っている、イベント盛りだくさんの今年の7月14日(カトーズ・ジュイエ)。
シャンゼリゼ大通りは軍事パレードが終わった瞬間から、フランス代表が明日優勝した場合の凱旋パレードの準備に入り、観客だけでなく行政・警察関係も大忙しな夏だ。

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