ソー公園の花見
パリ周辺での桜の名所といえばソー公園である。
こちらの桜前線は日本より遅く四月中旬から下旬にかけて、がだいたい恒例のよう。
日本のように桜の開花状況を伝えてくれるメディアがフランスにはないので、花見行事が開催される日程を日本関係のサイトでチェックして、だいたいその前後の都合のつく週末に適当に行くことにしている。
先祖の文化から遠く離れて育ちつつあるチビ太にもたまには日本の美を見せたい!と思い立ち、数年前からできるだけ桜の時期に一度は足を運ぶようにしている。
一度なぞ、前日から滅多に作らない日本風弁当まで準備したのに、一緒に行こうと誘った家族が当日になって天気がいいから自転車でおでかけしたい!でもソー公園はちょっと遠すぎる!という訳のわからん電話がかかってきた。
いくらドタキャンの多いフランスとはいえ、家族のお出かけで突然行き先を変えろと言ってくるのはかなり図々しいのだが、仲がよい友達家族で、チビ太もそこの子たちと一緒に遊ぶのを楽しみにしてたので、結局子どもたちを一緒に遊ばせる方をとり、名もなく桜もない郊外の公園に手弁当もって遊びに行くはめになった年もあった。。
ま、その年以来、そこの家族は花見には誘わないことにしたんだが(苦笑)。。
とにかく桜満開は、世界どこでもとても絵になる
ので、わざわざ腹を出して妊婦写真を取っているフランス人女性もいた・・
旦那さん、日本人なのかな?
日本では実家が桜通りに面していたので、毎年家の窓から嫌というほど花見をしていたのが、それがどんだけ贅沢だったのか今頃実感。
やっぱ日本の桜は本当に美し過ぎる。
桜満開だった河瀨直美監督の『あん』を思い出す。
記憶の中の光景として美しすぎる日本。
美化されているのだけれど、それも記憶の中では許される。
夢にリミットがないのと同じか。
好きなように思い出して、好きな部分だけ心に留めて、虫眼鏡で拡大して記憶の中に無制限にもっていくことができる。
フランスの公園にも桜が数本植わっているところがちょこちょこあって、三月に入るとツボミがちらほら。でも花が咲くのはまだ先。
桜の種類も日本で見慣れた小ぶりで清楚なソメイヨシノではなく、ピンク色が濃い八重桜が主流。
こちらの方がソメイヨシノより一、二週間遅く開花する。
フランスの南部が日本の北海道の緯度にあたっていることを考えたら、気候は他の要素でも決まるけど、やっぱここは北の国。
北の国といえば、宮藤官九郎さんの小説『きみは白鳥の死体を踏んだことがあるか(下駄で)』で、東北・宮城県出身の作者が自分のことをこんな風に形容してるのがとても可笑しかった ↓↓
・・・を若者目線でリアルに描いたことになっている宮藤某は、十八歳まで東北の片田舎で自分のことを「おら」と呼んでいた・・ちょうど人生の半分を「おら」で過ごした正真正銘の田舎者である・・
まさにこの「おら」がなぜかすごい気になって『あまちゃん』の脚本を手にとり、そしたらメッチャクチャ面白くてクドカンさんのファンになったのはつい最近のことなのだが。
でも、2013年放映のNHKドラマの方は見てない・・日本に住んでないとかなり日本文化の田舎者になるんでがすね・・
でも北の国にも美しいものは一杯。白鳥だって近所の運河に来るし。
我がチビ太が愛するアナ雪も北の国アーレンデールでの話。
桜も白鳥も白いだけど全然関連性はないけど。
でも桜はやっぱりやっぱりキレイ。
来月の花見が今から楽しみ